「除外」とは?
具体的な条項の説明に入る前に、ISO 13485における「除外(excluded)」を明確にしておきましょう。これらはどちらもすべての企業がすべての要求事項に対応する必要はないことを意味しますが、それぞれの扱い方や意味合いには明確な違いがあります。
■ 除外(Excluded)
「除外」とは、企業が自社の品質マネジメントシステム(QMS)から特定の条項を意図的に除くことを指します。ただし、条項を除外する場合でも、その正当な理由を明確にし、その他のQMS要求事項が完全に実施されていることを証明する必要があります。
例えば、自社が医療機器の設計を行っておらず、OEM製品の製造のみを行っている場合、「設計・開発に関する条項」を除外することができます。このような除外は、ビジネスモデルや製品の種類、または国内外の規制要件に基づいて判断されます。
ただし、除外が製品の品質や法規制・顧客要求事項の遵守に悪影響を及ぼしてはならないという点は、ISO 13485の中でも厳格に求められています。
ISO 13485で除外可能な条項
ISO 13485は、医療機器向けの品質マネジメントシステム(QMS)の要求事項を複数のセクションにわたって定めていますが、組織の業務内容や責任範囲に応じて、特定の条項を除外することが認められています。ただし、除外を行うには、その正当性を明確に示し、除外後でもQMSがISO 13485の要求事項を満たしていることを証明しなければなりません。
また、条項の除外は、製品を販売する各国の規制当局(日本ではPMDAなど)が認める範囲でのみ可能です。つまり、法規制に照らして妥当な除外である必要があります。
■ 除外可能とされる主な条項:
条項 7.3:設計・開発(Design and Development)
除外の理由:設計業務を自社で行わず、他社が設計した低リスク医療機器を製造している企業は、この条項を除外することが可能です。
正当性の説明:製造のみを行い、設計責任を持たない企業の場合、設計・開発に関するプロセスは自社には該当しません。ただし、設計移管および設計検証に関しては、委託元(設計責任者)と明確に取り決めを行い、それに従う必要があります。
このような除外は、品質マニュアルなどのQMS文書に明確に記載し、審査機関に対してその妥当性を証明することが求められます。審査員は、除外によってQMSの有効性や、法規制・顧客要求への適合性が損なわれていないかを厳しく確認します。
条項 7.5.5:滅菌医療機器に関する特別な要求事項
適用外の理由:非滅菌製品のみを製造している企業。
正当性の説明:製品に滅菌が必要ない場合、滅菌に関する要求事項は自社の業務には関係ありません。そのため、この条項は「適用外」として扱うことができます。
注意点
たとえ該当のプロセスを外部委託している場合でも、法的製造業者(Marketing Authorization Holder)としての責任は残ることを忘れてはなりません。たとえば、滅菌や設計などのプロセスを外部に委託している場合でも、十分な管理と監督体制をQMS内に構築し、それを証明する必要があります。