老舗鍛造メーカーがTISAX®取得で挑む、お客様への信頼強化と「安全なAI活用」への布石
ドイツ品質システム認証株式会社(DQS)は、図南鍛工株式会社に対し、自動車業界の情報セキュリティ基準である「TISAX®」の認証審査を実施しました。 今回、図南鍛工株式会社の代表取締役南條 栄太郎社長より、創業85年を超える伝統企業がなぜ今、高度な情報セキュリティ認証に挑んだのか、その背景とビジョンについてお話を伺いました。
ドイツ品質システム認証株式会社(DQS)は、図南鍛工株式会社に対し、自動車業界の情報セキュリティ基準である「TISAX®」の認証審査を実施しました。 今回、図南鍛工株式会社の代表取締役南條 栄太郎社長より、創業85年を超える伝統企業がなぜ今、高度な情報セキュリティ認証に挑んだのか、その背景とビジョンについてお話を伺いました。
(写真右より)
図南鍛工株式会社 業務部執行役員 印南力孝様
図南鍛工株式会社 代表取締役社長 南條栄太郎様
図南鍛工株式会社 経営企画室係長 宮本佑輔様
図南鍛工株式会社 経営企画室室長 古賀章二様
DQS: 貴社の事業概要と歩みについてお聞かせください。
南條社長: 弊社は昭和13年(1938年)に川崎で設立され、創業88年を迎える鍛造メーカーです。昭和38年に現在の大和市に主要設備を移転しました。当時は周りに何もない場所でしたが、現在は住宅地となり、騒音や振動への配慮など難しい運営も求められる一方、大手商用車メーカー様、外資系建設機械メーカー様、国内大手建設機械メーカー様といった素晴らしいお客様に恵まれたお陰で国内の鍛造業界では、売上規模で15〜17番目ほどに位置しています。
DQS: 今回、TISAX®認証を取得された背景と目的を教えてください。
南條社長: 最大の要因は、売上の3割強を占めるメインのお客様である大手商用車メーカー様の方向性に合わせることです。お客様が品質や環境と同様に、サプライヤーへ情報セキュリティ認証を求めたことがきっかけでした。
しかし、単なる「要求への対応」だけではありません。私には「AIを活用していきたい」という強い思いがあります。AIや情報の活用にはリスクが伴いますが、リスクがあるからとブレーキを踏むのではなく、TISAX®という国際基準に準拠した強固なセキュリティ体制を整えることで、「安全にAIを積極推進できる環境」を作りたいと考えたのです。私自身、有料版のChatGPTを毎日活用し、プロンプトを工夫して業務に役立てていますが、その利便性を享受するためにも信頼の基盤が必要でした。
TISAX®審査は3年に1度行われ、企業の信頼性を証明し、持続的な信頼を構築する手段です。TISAX®ネットワークに参加することで、時間とコストを節約し、情報セキュリティの成熟度を維持しながら競争優位性を確保できます。企業は、TISAX®要求事項を満たすことで、情報の適切な保護を証明する必要があります。
DQS: 認証取得前までのご準備状況について如何でしたか?
南條社長: 実は5年ほど前から、情報セキュリティの重要性を予見して段階的に準備を進めてきました。全社員へのスマートフォン支給による固定電話の廃止や、ADサーバーの導入、そしてそのクラウド移行などです。
経営企画室 宮本係長: 構築にあたっては、これまで「必要だから」と運用してきたシステムが、TISAX®のどの要求事項に合致するのかを書面に落とし込んでいく作業を行いました。5年前からのコツコツとした積み重ねがあったからこそ、非常に短いリードタイムで完結できたと感じています。
DQS: 認証取得後の、ビジネスにおける期待や変化はいかがでしょうか。
南條社長: 既存のお客様に対し、情報セキュリティを正しく認識・運用していることをポジティブにアピールできる「アドバンテージ」になりました。同業他社で取得している企業はまだ少なく、ホームページ等で公開することで「一歩先を行く企業」としての信頼構築に繋がっています。また、審査を通じて「記録を適切に残す」といった実務的な気づきを得られたことも、組織のレベルアップに繋がりました。今後はこの安全な基盤の上で、生成AIなどの最新技術をさらに使いこなし、伝統的な製造業の枠を超えたDXを加速させていきます。
DQS: 認証パートナーとしてDQSを選ばれた理由を教えてください。
南條社長: 既に取得していたISO 9001(品質)とISO 14001(環境)の認証機関と統合したかったからです。機関がバラバラだと、社長インタビューや会社説明を何度も繰り返すことになり、経営資源の無駄が生じます。一つの機関で3つの認証をまとめて管理できる効率性が、DQSを選んだ最大の決め手でした。DQSはレスポンスが非常に早く、TISAX®をよく知らなかった段階から的確な情報を提供してくれた点も非常に助かりました。
図南鍛工株式会社はDQSを通じて、TISAX®認証の取得のみならず、AI活用を見据えた次世代の製造業のあり方を追求しています。DQSは、伝統と革新を両立させる同社の挑戦を、認証を通じて今後も支援してまいります。