創業78年の水晶デバイスメーカーが挑む「Vision2030」への変革。TISAX®取得を起点とした「未来を切り拓く経営基盤」への転換とは

ドイツ品質システム認証株式会社(DQS)は、日本電波工業株式会社に対し、欧州自動車業界の情報セキュリティ基準「TISAX®」の認証審査を実施しました。 創業以来、水晶デバイスのリーディングカンパニーとして世界を牽引してきた同社が、なぜ今、若手社員をリーダーに据えてこの国際基準に挑んだのか。その背景にある経営戦略と、組織に巻き起こった「波動」について詳しくお話を伺いました。

NDK_IMG_3915 - Edited.jpg

(写真右)日本電波工業株式会社 法務知財部部長 清松久典様

(写真左)日本電波工業株式会社 情報システム室 後藤彩巴様

NDK_IMG_3863 - Edited.jpg
Loading...

「電子機器の心臓」を守り続ける、世界屈指の技術集団

DQS: まずは貴社の歩みと、現在の事業展開について教えてください。

清松部長: 弊社は1948年に創業した、水晶デバイスを中心としたタイミングデバイスの専門メーカーです。

水晶は電圧を加えることで安定した振動を生み出し、その振動をもとに電子機器の動作タイミングを制御する基準信号(クロック)として利用されます。

パソコンやスマートフォン、自動車など、あらゆる電子機器において正確な動作を支える「指揮者」の役割を担っています。

現在、事業の大きな柱は車載事業とスマホ向けの移動体事業ですが、最近ではAIサーバー用の光トランシーバーに使用される水晶発振器も市場から高く評価されています。また、JAXAとの共同研究による宇宙用QCMセンサーや、国内で唯一無二のポジションを築いている防衛向けの特殊通信モジュールなど、最先端かつニッチな分野でも大きな存在感を持っています。

Vision2030」:1,000億円企業への脱皮と構造変革

DQS: 非常に幅広い分野で活躍されていますが、現在の経営課題はどこにあるのでしょうか。

清松部長:今、我々は会社を大幅に変革している時期にあります。かつての電子部品業界は、お客様(セットメーカー)に言われた通りに製品を作れば商売になりました。しかし、社会情勢が激変する中で、そのモデルだけでは成長が望めません。

そこで打ち出したのが「Vision2030」です。2030年に売上高1,000億円を目指すという、従来から見れば非常に野心的な目標です。この達成のために、事業構造の変革を図っています。これを下支えするために、新企業理念である「波動で未来を科学する」を掲げ、DXの導入や人材育成、そして「守りのガバナンスから攻めのガバナンスへの転換」を強化しています。

 

NDK_IMG_3847 - Edited.jpg

 

TISAX®取得の背景:車載事業の維持と「品質」としてのセキュリティ

DQS: その変革の中で、TISAX®認証に対してどのような期待がございましたか?

清松部長: 直接的な取得目的は、売上の約5割を占める車載事業の最重要顧客である自動車メーカー様からの要請です。品質基準と同様に、「情報セキュリティの品質」も国際基準で管理されていることを示す必要がありました。

「対応しないという選択肢」はありませんでした。そこで、弊社は、TISAX®取得を「攻めのガバナンス」強化の一環として位置づけることにしました。即ち、単なる認証取得ではなく、グローバル市場での成長を支える競争力そのものと位置づけたのです。

TISAX® アセスメントについて

TISAX®審査は3年に1度行われ、企業の信頼性を証明し、持続的な信頼を構築する手段です。TISAX®ネットワークに参加することで、時間とコストを節約し、情報セキュリティの成熟度を維持しながら競争優位性を確保できます。企業は、TISAX®要求事項を満たすことで、情報の適切な保護を証明する必要があります。

詳細はこちらから
NDK_IMG_3898 - Edited.jpg
Loading...

組織に起こった「波動」:入社3年目の若手リーダーによる挑戦

DQS: 構築プロセスにおいて、特に印象的だったエピソードはありますか?

清松部長: 今回、あえて当時入社3年目の若手社員を事務局のリーダーに抜擢しました。これは会社としても大きな挑戦でした。

情報システム室 後藤氏: 最初は現場から負担を懸念する声などもありました。そこで、単にルールを一方的に押し付けるのではなく、各部門と対話を重ね、現場の実情に即した運用を一緒に作る進め方を大切にしました。

清松部長: 後藤が必死に頑張る姿が、まさに新企業理念にある「波動(波の力)」のように社内に伝わっていきました。最後には、周囲の仲間が彼女を支え、押し上げていくような強いチームワークが生まれました。このプロジェクトを通じて、「マネジメントサイクルを回せる次世代のリーダー」が育ったことが、何よりの収穫です。

DQSを選んだ理由:圧倒的な情報量と「本質」を見極める審査

DQS: 数ある認証機関の中からDQSを選ばれた決め手を教えてください。

情報システム室 後藤氏: 2年前、社内にTISAX®の知識が全くない状態で途方に暮れていた際、DQS主催の無料セミナーに参加したことがきっかけです。日本語の情報が極端に少ない中で、DQSから提供される情報は非常に有益で、社内の意思決定に不可欠でした。また、契約前にもかかわらず、複雑な拠点構成についてドイツ本社まで確認してくれた真摯な対応に信頼を感じました。

DQS: 実際の審査を終えての感想はいかがですか?

情報システム室 後藤氏: 審査員の方が弊社のビジネスや製品の特性を深く理解しようとする姿勢に感銘を受けました。単なる書類チェックではなく、「TISAX®の考え方が現場まで浸透しているか」を正当に評価していただけたことが、我々にとって大きな自信になりました。

 

今後の展望:認証を「ツール」として使いこなし、攻めの経営へ

DQS: 最後に、今後の展望をお聞かせください。

清松部長: 水晶専業メーカーとしていち早くTISAX®を取得できたことは、競合に対する強力なアドバンテージになります。しかし、これはゴールではなくスタートです。

今回学んだマネジメントサイクルをビジネス全般に展開し、組織の力、すなわち「波動」をさらに大きくしていきます。TISAX®を単なる守りの手段ではなく、成長を加速させるための「ツール」として使いこなし、2030年の目標に向かって突き進んでまいります。

 

日本電波工業株式会社は、伝統ある技術力と若きリーダーシップの融合により、グローバル基準の情報セキュリティ体制を確立しました。DQSは、さらなる高みを目指す同社の認証パートナーとして、これからもその挑戦を審査を通じて支え続けます。